退職後の生活費に困らないための秘策
結論からお伝えすると、「傷病手当金」(社会保険制度)を活用することです。
意外と知らない方が多いのですが、傷病手当金は国の社会保障制度の1つ。これまで毎月天引きされてきた社会保険料を原資として、手当金がもらえるんです。
ただ、誰からも積極的に周知されないので、活用せずに大損をする人が後を絶ちません。私二階堂も実際に活用していましたが、仕組みがどうにも複雑で、かなり入念な調査が必要で…。とても苦労しました。
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ただ、この制度をしっかり活用できたおかげで、
- 生活費の心配を一切することなく
- 心身を疲弊させたまま焦って次の仕事に就くことなく
じっくりと休養し、質素ながらも妻と幸せな時間を過ごせたのです。
知っているかどうか。そして実際に制度をフル活用できるかどうかで、退職後の生活に天と地ほどの差が出ることは間違いありません。
私と同じように退職や生活費の面で不安を抱えるあなたには、ぜひ知っておいて欲しい。そして知るだけでなく、しっかり活用し切って欲しいと思っています。
説明は長くなりますが、より不安の少ない生活を退職後も送るため、時間をとって最後までしっかり読んでくださいね。以下の内容について書いています。
- 傷病手当とはどんな制度なのか
- 失業手当と傷病手当の違い
- 傷病手当の活用事例
- どんな人が傷病手当を活用できるのか
- 傷病手当を受給するデメリット
- 傷病手当を受給する具体的な方法
- 二階堂の傷病手当体験談
- 傷病手当金受給で「損」をしない方法
それでは、順を追ってみていきましょう!
※退職代行について知りたい場合は「退職代行完全初心者ガイド」をご覧ください。
※仕事探しについて知りたい場合は「もう失敗しない!働くのに疲れた人向け「転職エージェント」まとめ」をご覧ください。
そもそも「傷病手当」とはどんな制度なのか
恐らく…
- 長期で入院したり、大きな病気やケガをしていなければ使えない
- この働けない間に給与を保証するために会社が使うもの
といった認識があるかもしれません。
ですが、実は…
- 風邪やケガ、アトピー、ヘルニア、つわりなどでも利用が出来る
- 休んだ期間分が日割りで支給される
- 毎月天引きでコツコツ納めてきた社会保険料を元手にしているため、会社の負担はない
こういった性質の制度なんです。しかも…
退職後も症状が続いている場合には、仕事を辞めていたとしても18か月間保証されている
驚くほど手厚いものなんですね。初めて知った時、耳を疑いました。
厚生労働省保健局の資料にも詳しく説明がありますが、ザックリ図で表すと、このような感じです。
言わば、失業手当の期間が延長されるような感覚に近くて。
失業手当は、これまでの働き方によってもらえる金額に大きな差がありますし、通常3ヵ月程度。最大でも10か月程度です。
ですが、傷病手当を受給するとなると、全てひっくるめて最大で28か月間の受給が可能に。
最も短い場合でも、【傷病手当18カ月+失業手当3ヵ月=合計21カ月】もお金がもらえるんです。総支給額の6割強とはいえ、超強力ですよね。
失業手当と傷病手当の違い
一見するとややこしく、混同してしまいがちなこの2つの手当ですが、どこがどう違うのかをザッとみておきましょう。
簡単に表現すると、以下の通りです。
■失業手当|雇用保険が原資。失業した際にもらえる手当
■傷病手当|社会保険制度が原資。傷病により就労出来ない場合にもらえる手当
お金の出どころも、もらえる状況も異なるんですね。
失業手当は、あくまでも職を失った人が次の仕事を見つけるまでの間の救済措置。働けるほど元気でないと、もらうことはできません。
一方の傷病手当は、働きたくても働けない人が元気になるまでの間の救済措置。しっかり療養する間の生活を保障してくれるってワケです。
そして、先ほどお伝えしたように、傷病手当は長期入院や大きな病気やケガでなくとも利用可能。
社会保険料を納めている人の4人に1人が利用できる可能性があるほど、身近な制度なんです。
傷病手当の活用事例
例)Sさんの場合…
- 平均総支給月額は30万円
- 新卒入社して2年目の正社員
- 退職理由は、残業が多く人間関係も悪く辛すぎること=自己都合退職
この場合、以下のように傷病手当と失業手当が計算できます。まず条件は…
- 失業手当の支給月額=平均総支給月額×60%
- 失業手当の支給日数=3ヵ月
- 傷病手当の支給月額=総支給月額×65%
- 傷病手当の支給日数=最大18カ月
失業手当のみの場合、受け取れるお金は
30万円×60%×3ヵ月=約54万円
傷病手当を受給できた場合は、上記の失業手当に加えて、
30万円×65%×18カ月=約351万円が加わります。
なので、トータルは54万円+351万円=約405万円に。
※「約」としているのは、実際には「標準報酬月額」に基づいて算出されるので、数万円の誤差が出るため。
デカいですね…。これだけあったらなんとか暮らせますが、無かったら貯金はガンガン減るでしょう。
どんな人が傷病手当を活用できるのか
驚くほどに多種多様な理由での申請が可能です。
まず、精神疾患や関連症状を挙げると、以下のようなものがあります。
- 気分が落ち込む、イライラする、不安感がある等の「抑うつ状態」
- 抑うつ状態が長く続く「うつ病」
- 夜眠れない、朝早く目覚める、寝すぎてしまう等の「睡眠障害」
- 会社や上司と合わない等の環境によるストレスを受ける「適応障害」
かなり幅広いんですね。もしかしたら、
非常に重篤で、自殺を毎日考えているようでないといけない…
などというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。比較的軽いものも含みます。
自分では「うつではない!」と考えていても、カウンセリングを受ける際にうつ症状が出ていることが分かる人もいます。
一説では、日本全体でおよそ8割もの人がこの症状に当てはまる可能性があるとすら言われているくらいですから…。
傷病手当を受給するデメリット
もちろん、多大なメリットに引き換えてのデメリットも存在します。大きく2つ。
- 手当を活用すると生命保険への新規加入がしにくくなる
- 転職をする際、手当を受給していた期間に対する返答が必要になる
生命保険については、全く加入できないわけではありませんが、選択肢は狭まります。ここ数年での加入や見直しを検討されている場合は受診前に手続きしておく方が良いでしょう。
転職時の説明に関しては、資格の勉強をしていた、じっくりと就職活動をしていた、実家の手伝いをしていた等、手当を受け取ったのちに就職されている方は多くいらっしゃいます。
いずれにしても、準備をしっかりしておけば問題ないレベルと言えるでしょう。
受け取れる金額が大きすぎますからね…。大抵のことには目をつむるしかありません。
結果は大正解でしたよ。
時には奥さんとニンテンドースイッチで桃鉄やスマブラをしたりなんかして、お金の心配をせずに休養してました(そもそもあまり浪費家ではないことも幸いでした)。
傷病手当を受給する具体的な方法
シンプルに言うと、以下の流れを踏むことになります。
- 病院で診断書をもらって、
- 会社を通じて申請書と共に健康保険組合に送り、
- 審査を受けて受理され
- 受給できる条件を満たし続ける
これだけみると、まあそうかそうか、という感じですが…
冒頭でもお伝えした通り、各ステップで把握すべきこと、やるべきことが超複雑なんです。
例えば、以下のようなものが代表的。
- 診断書は、いつどこでどのようにすれば貰えるものなのかが不明瞭
- 診断をもらいやすい病院や伝え方はあるのか気になる
- 申請書類の用紙がどこで貰えるのか分からない
- 申請書類の書き方や必要な添付書類が謎すぎる
- 会社にはどうやって伝えるべきなのかで迷う
- 健康保険組合の職員や会社、医師の指示によって受理までの流れが変わる場合がある
- 毎月病院へ通わないと受給が止まる恐れあり
- 退職後の継続受給にも厳格な条件がある
代表的というか、私がつまづいた部分です…。
そもそも心療内科って、予約すら全然とれません。電話してみて驚きました。しかも初診では診断書が出なかったりもするんです。
もう、数えればマジでキリがないほどのハードル。発狂するかと思いました。
でも必死に考えて調べて動きました。
お金がないと夫婦仲も悪くなるし、何より不安で押しつぶされそうだったから。
しかもこれ、健保によって審査基準が異なっていたりもするので、厳密には誰の情報もアテにならないんですよね。
私がうまいことやれたのは、生来のマメさと調査力、運の力も大きいと思っています。
なので、退職の手続きや退職代行のお話と違って、ゼロから自信をもってお伝えできるわけでもありません。
情報量も膨大で、つきっきりで、私自身も調べながらになってしまいます。しかも個人差があるので確実かは分からない。
なので、かなり無力感を感じてはいるのですが…。
私の体験した中で「ああコレは知らなかったらヤバかったな」という点を中心に、以下でザクッとお伝えしていきます。少なくとも、試してみないと損ですからね。
二階堂の傷病手当体験談
傷病手当を受給するにあたって「これはやり方によっては受給できなかったのでは…」と感じた点がいくつか。4ステップに分けてお伝えしてみようと思います。
1.診断書をもらうまで
病院選びが、命運を分けるかもしれません。
というのも、実は私は大学生の頃にも頭がおかしくなり、思いつめて心療内科を受診しようと考えたことがあります。
でも、その時勇気を振り絞りに振り絞って電話をしたのに、受診できるのは1ヶ月以上先だと言われたんですね。
消え入るような声で絶望感を味わいながら返答して電話を切り、結局受診することはありませんでした。
今考えると、今回の傷病手当についても、同様のことが起きていたかもしれません。
ネットで調べて「ここなら大丈夫そうかな…」と思えた病院は、ことごとく予約で埋まっていましたから。
ちなみに、あまりに消耗していたので…奥さんに予約をしてもらいました。様々な病院へ電話を入れてもらって。申し訳ない。頼りっきりです。
でも、その病院(担当医師)がどうやらアタリだったようで。
電話してもらった翌日には受診できて(予約していたのに待合室で3時間くらい待ちましたが…)、無事に「適応障害」での診断書を出してもらえました。
一応気を遣っていたのは、初診時のアンケートにありったけの自覚症状を書き連ねたことでしょうか。
例:「気持ちの落ち込みが続いている」「意欲が出ない」「物事に集中できない」「ケアレスミスが増えた」「眠れない」「寝ても目が覚めてしまう」「食欲が落ちた」「ご飯が美味しくない」「倦怠感がある」「動悸がする」「息苦しさがある」「涙が出るようになった」「吐き気」etc…
あとは多分、けっこう顔がやつれていたかもしれません…。質問に素直に応じる形で、感じていることなどを吐き出しました。
個人経営だったり古びた病院ではなく、少しビジネスライクな、人の出入りが多い病院の方が話が通じやすいかもしれませんね。
2.初回申請時の動き
申請書類の記入が、鬼門です。
初回の申請をするにあたって、まず、会社から送られてきた申請書類に必要事項を記入していきました。
記入例も一応添付されていましたが、個人差があり曖昧な部分が多く、悶々とすることに。
ネットで調べたりはしましたが、例として挙げられている書式が様々に異なるため、あまり参考にはならず…。
結果的に、それっぽい形で「ダメなら送り返されて修正させてくれるだろう」と開き直って提出しました。
それでも怖かったですが…。
てんやわんやしながらも、特に差し戻されることもなく、申請が受理されました。疲れ切っていたこともあって、こういうところが運任せになりがちでしたね。
3.退職をしてからの動き
厳格な基準を満たすよう、細心の注意が必要です。
① 退職日に労務不能であること。
② 退職日の前日までに連続3日以上の労務不能期間があること。
③ 既に傷病手当金を受給されている、もしくは受給できる状態(※1)にあること。
④ 退職日まで健康保険に継続して1年以上の被保険者期間(※2)があること。
(※1)受給できる状態とは、労務不能状態で会社を休んでいたが有給等を使用しており、会社から給与が出ていたため、傷病手当金が支給停止されている状態。(※2)前職等で加入していた健保組合の被保険者期間も含めます。
ややこしいですが、よくあるミスが、退職日に会社へ出社し受給資格を失ってしまうこと。必ず、退職日も含めて会社には行かないことです。傷病手当金をもらい始めたら、もう会社には行かない。そのくらい徹底していれば問題ないでしょう。
退職後は、会社を経由せず、直接健康保険組合へ申請書類を送付していきます。改めて、加入している健康保険組合のWebサイトから申請書類をダウンロードしました。
さらに、退職後の初回のみ、ハロワークで「雇用保険受給延長手続き」の書類をもらい、添付しました。これは、失業保険を、傷病手当を全て受給し回復し終えた後にもらえるようにするための書類です。
こういった一連の流れは、調べながら、自分で健康保険組合に電話をして尋ねました。当たり前ですが、誰も教えてくれません。
対応自体は可もなく不可もなくといった感じですが、「体調はどうか」と尋ねられたり、どうにも話が分かりづらかったり、恐ろしかった記憶があります。単純に電話が苦手なのもあるかも。
問題なのが、ここら辺の手順や基準も、どの健康保険組合なのか、どの担当者なのかによって差が出るようだということ。統一して欲しいですよね。
4.継続して受給するにあたって
何があっても、支給条件を満たし続ける必要があります。
それは例えば、以下のようなものです。
- 毎月病院へ必ず通い診断を受け、申請書を提出すること
- 一定以上の労働をしないこと
- 「療養・日常生活状況報告書」を定期的に提出すること
医師からは「就労不可」とのお墨付きをもらわねばなりませんし、万一お金が傷病手当金だけでは不足しても、ガッツリ働きに出ることは許されません。
生活状況報告書も、どう記述するかによっては「打ち切り」になってしまうので、ものすごく神経を遣いました…。正解が分からん。
また、私はしていませんが、転院する際にも気をつけないと支給が止まってしまう恐れがあるとか。
手厚い制度であるぶん、見る目も厳しいのかもしれません。アチラコチラに絶妙なハードルがあって、疲れさせてきます…。
傷病手当金受給で「損」をしない方法
そんなこんなで、めちゃめちゃ苦労はしましたが、私の場合はなんとか受給できました。合計で数百万単位になるので、改めてこの傷病手当金制度には本当に感謝しています。
調べてみると、今では「給付金サポート」というサービスも。
料金自体は決して安くないですが、受給できる金額の10~15%程度の負担で受給を保証。万が一受給できなかったらサポート料金は返ってくるとのことです。
調べ尽すのが億劫で自信が無い場合や、絶対に失敗したくない場合には良いかもしれません。そもそも貰えなかったら大損ですからね。
無料の個別相談をしているので、よほど自信がある場合を除き、話だけはきいておきましょう。
プロからある程度の前提知識が得られたら、自分でやるにしても成功確率が上がりそうですよね。もちろん有料の部分に関しては無理して利用する必要もありませんし。
二階堂のこともそうですが、活用できるものは活用すること。お金の心配をする必要があるかどうかは、心の健康に直結します。
無料相談をしてみるすごく長くなりましたが、以上です。まずこの制度を具体的に知れただけでもかなりの前進。私の経験が、少しでも参考になりましたら幸いです。
この件に関して二階堂へ質問をしたい場合は、必ず上記の給付金サポートを通じて理解を深めてからお願いしますね。よりスムーズに話が出来ますから。
どうか、思い通りにいきますように…!
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